うたうたいに捧ぐ
Dedicated to lonely singer...

92.09.06

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Dream of Purple

きみは風のように消えた
沢山の想い出と うた を
あたしたちに残して
きみが消えたこの港街(マチ)に
きみの うた が流れる
「あたし達は大人になってしまうよ、
 どうすればいい?」
きょうも港街にきみの うた が
流れる

いなくなったきみのことを
また何も知らない大人が書き立てるよ
あたし達の本当の気持ちをわかってくれた
何もわからないまま大人になりたくない
本当は何でも知っていたよ、大人のする汚いことは
ほら、こうすれば、あたしたちだって大人だよ
子供も産めるしお酒だって飲める
でも
ママに叱られるような気がするのよ
ママなんてあたしが誰が好きなのかさえわからないのよ
何処で何考えて生きているのかさえ
きっと無関心でいい娘でいればいいのね
お金持ちの彼の処へ嫁って幸せになれるなんてきっと
思ってるのね
お金で幸せになれないなんてこと位
自分がよく知っている癖に

きみは飛べないあたし達の変わりに
遠いところへ逝ってしまった
もうすぐあたし達はきみの年齢(トシ)を追い越してしまう
あたし達の前に急に視界が拡がる
あたし達はどうしてこんな年齢まで生きているの?
25で死にたかったよ
そうすれば、あたし達は大人にならずに済むもの
きれいなまま逝けるんだもの
きみの死を知ることもなく
悩むこともなく

きみに会ったことを一生後悔するよ
きみのせいではないけど
あたし達は不幸な星の元に生まれた世代だから
きみが欲しかったんだ
でもきみがくれたのは憎しみ
人を憎み続けることで生きていたきみ
でも人を憎んでも残るのは悲しみ
頬を殴られて気がつく心の痛み

きみがいなくても時計は動く
満員電車はいつもの時間に到着し人を吐き出す
胃の中に穴が空いたように心が痛む
きみなしでもあたし達は生きていけるけど
きみの うた がない夜は眠らない
夜が更けない

4月に消えてしまったうたうたいのきみに捧ぐ

NANCY
[EOF]